前回(変わり者Eさん㉕胸がギュンギュンする)の続きです。
わずかな時間ながら、
Eさんと会える事になった私は
はち切れんばかりの嬉しさを抱えて
待ち合わせの地元駅に向かいました。
前日に「俺の事を好きになればいい」
「そんなんもう、ね」なんて会話を
して会うことになったので、
もしや、いや、ないとは思うけど
でも、ちょび~っとだけ
告白されたりして…?
という期待をしてみたり。
そんなヨコシマな妄想をしたせいで、
駅についてEさんを発見したものの、
まぁド緊張とトキメキにより
なかなか声が掛けられませんでした。
しかし今日は時間がだいぶ限られて
いるんだったと思い出し、腹をくくり
「おまたせしたー☆」と気持ちが
バレぬよう明るく声をかけました。
Eさんは実家から3時間以上かけて
来てくれたのに優しく笑って
「大丈夫よ」と言ってくれました。
そして私の知っている居酒屋に
向かったのですが、歩き出した瞬間
Eさんが手を繋いできてくれました。
バックン!!と高鳴る心臓、しかし
私はその時、思ってしまいました。
息子の保育園の父兄に
見られたらヤバい…!
思いっきり地元駅なので鉢合わせする
可能性は十二分にあります。
私がシングルマザーだと知っている
人でもそうじゃなくても、子供抜きで
私が男性と手を繋いでいるのを見たら
良からぬ感情を抱く人もきっといる、
そしてそれを尾ひれをつけて保育園で
拡散されてしまったら…恐ろしい!
そう思うと同時にEさんの手をパッと
はなし「ごめんっ!息子の知り合い
とかに見られたら気まずいから。」
と言いました、Eさんはちょっと
驚いた顔をしながら「…そか。」
とだけ言いました。
うぅ~…嬉しいのに拒否しなきゃ
いけないなんて辛すぎる…。
少し気まずさを感じつつ居酒屋に
到着しました。この店は普段
息子や複数の友達と一緒に来るので
基本的に開けた席に通されます、
しかし今回はEさんと二人なため、
思いっきり狭い個室席に通されました。
コの字形の個室に向かい合って座り
(うわ~…なんか顔あげられない~)
とドキドキしていると、Eさんが
「…よいしょ」と小さく呟きながら
私のすぐ隣に移動しました。
ぎぇ~ますます顔があげられない!
しかしさっき手を繋いでくれたのを
拒否したのにここでも距離をとって
しまったら確実に終わってしまう…
そう思いビールをぐびびっと飲むと
覚悟を決めてEさんの顔を見ました。
すると…Eさんも思いっきり私の顔を
ジッと見つめてきました。
……アカン
死んでまう
瞬時にまた下を向く私。
(無駄にピュアな子持ちアラフォー女…)
初対面の時も二度目のデートも
へっちゃらだったのに、どうやら
顔すらまっすぐ見れないくらい
好きになってしまったみたいだ。
話したかったこともあったのに、
もう全然思い出せない。
…でも、Eさんが私のそばにいる。
あんなに会いたかった人がすぐ横に。
それだけで気持ちが満たされて、
もう十分だと思いました。
「遠くから来てくれてありがとう。」
やっと、まともに言葉にすると
「うん、会いたかったからね。」
と返してくれて、私はもうどうしたら
いいか分からず泣き笑いみたいな顔で
もう一度「ありがとう」と言いました。
続きます。
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